バラの挿し木
切り花種の絞り模様の薔薇を手元に残したい時
一般のナーサリーでは株が手に入りません。

それで、自分で挿し木や接ぎ木に挑戦することになりました。

接ぎ木の様子は、『バラの接ぎ木に挑戦!』にまとめてあります。

挿し木も最初は20本挿して全滅というに苦い経験を繰返しましたが
そのうちに20本中1〜2本成功となり、段々と成功率が
上がってきました。種類によっては6本挿して5本成功などもあります。

ここでは、それぞれの代表的な過程をご紹介する関係上
別の種類が混ざっていることをご了承下さい。

なお、PBR(生育者権利)のある品種では、個人で楽しむ以外の
目的で増やすことはできませんのでご注意ください。



【準備するもの】
1.挿し穂となる葉付きの枝
 切花の場合はなるべく届いたばかりの
 元気の良い枝をしっかり水揚げしてから
 挿し穂とする。

2.ミリオン(珪酸塩白土)
 水挿し場合、ビンの底に入れておくと水が
 腐らずに発根にも良いよう。

3.オキシベロン(発根促進剤)
液体と粉状がある。私は液体を使用中。

4.適当な大きさのビン、平鉢。

5.剪定ばさみ、またはカッター。

6.鹿沼土細粒または赤玉小粒
 あるいは種まき・挿し木用土。


直接土に挿すよりも、まずミリオンを入れ
水に挿しておく方が成績が良い。

乾燥しないようにビンごとビニール袋
被せておくとさらによい。

直射日光の当たらない明るい日陰に置く。

水に挿して、10日から30日くらいすると
切り口に丸いイボイボのようなもの
見えてくる。これが発根の所見になる。

この時に出来るだけ葉が残っている方
が良いが、取れてしまっても挿し穂が
緑色をしていればまだ可能性がある。

成功のコツは、まず第一に
着きやすい種類かどうか。
これはやってみるまで判らないが
枝の太すぎるものは難しい
細すぎるものは、根付いても成長が遅い

次に湿度と気温がポイント
乾燥は禁物

蒸し暑い夏場は成績が悪い
厳寒の冬季も室内の窓際では成功率が
落ちる。温室の棚の下は良かった。
3月〜7月(梅雨明け前)、9月〜11月、
特に5月〜6月は成功率が高い!
しっかり発根してから、土に挿すと
まず失敗しない。

直接土に挿す場合は、オキシベロンの
2倍希釈液に10秒
くらい漬けて、割り箸
で土に穴を開けてから、その穴に挿す。

水は底面給水が原則だが、ある程度
育てば、上のからの水遣りでもOK。

土には肥料分は入れない。

温室管理中。
あるいは室内のカーテン越しの窓際。
冬季以外は、雨の当たらない屋外でもOK。

種類はアローフォーリーズ。
(2007年11月21日撮影)
2〜3週間くらいすると挿し穂から
新芽が伸びてくる。(*^.^*)
種類はレクサス。

(2008年2月24日撮影)

アブラムシが付くと発根している証拠になる。
アプラムシ君、教えてくれてありがとう?!

ちょっと喜んでから、
慌てて駆除することになります。(^^;;;

失敗した場合は、挿し穂にシワが入り
最後には黒く変色してくるので判ります。
(T▽T)

さらにスクスクと伸びてくる。
種類はレクサス。
(2008年2月27日撮影)
この辺りで植え替えると、
かなり根が伸びているのが判る。
種類はアローフォーリーズ。
(2008年1月5日撮影)

いきなり普通の土に植え替えるより
これまでと同じ土の方が成績が
良かった印象があります。

環境が極端に変わるとまだ赤ちゃんの
挿し穂は適応できないみたい。

根が出たといって、
あるいは新芽が展開したと
喜んで植え替えて枯らしたこと多くあり。

挿し木の場合は、発根して芽が十分に展開
するまで慌てて植え替えない方が良い。
2号のスリット鉢に植え替えて管理中。
種類はアローフォーリーズ。

アローフォーリーズのその後はこちらから
どうぞ。


温室内なので、黒点病は発生しないが
うどん粉病、ハダニ、アブラムシは
油断できない。

こまめに観察して早期に対処することが
大切。

上手く育てると、新芽が展開した挿し木苗から
約2ヶ月で、最初の蕾が見えてきます。

花色を確認して、その後は摘蕾して株の充実
を図りますが、半年も経てば一人前の苗に
育ちます。
こちらが上記のレクサスの鉢上げ後の様子。

(2008年3月21日撮影)

レクサス開花の様子はこちらからどうぞ。
上手く育てると、新芽が展開した挿し木苗から
約2ヶ月で、最初の蕾が見えてきます。

花色を確認して、その後は摘蕾して株の充実
を図りますが、半年も経てば一人前の苗に
育ちます。

種類はカラホ。
(2008年3月21日撮影)
上記のカラホが開花しました。
残念ながら、絞りが出ない。

カラホの絞りは不安定で、切花で購入した時
も3分の1は絞りが出ていませんでした。

株が充実してこないと現れないのかも・・。

(2008年4月2日撮影)

切花で購入した時のカラホ↓


カラホ、次の開花では絞りが入りました。

次の開花の様子はこちらからどうぞ。
ドンドンと咲くアブダカダブラは、
開花後には切花として楽しみますが、
花後残った茎を水に挿しておいたら,
発根していました。

先端が水に付くか付かないか、ギリギリ
ぐらいが一番成績がいいです。

モコモコの白い部分が発根のサインです。

挿し木のコツは、忘れるくらいに
放っておくのに限りますね。(笑)

ちなみにミリオンの量は適当です。
まぁ、オマジナイのようなものです。σ(^◇^;)

(2008年5月30日撮影)
アブタカダブラ
水挿しした日  5月10日
発根確認した日  5月25日
土に植え替えた日 5月31日

細い枝の方が発根率は高いです。
(でも成長は遅い・・。(-"-;))

季節は5月〜6月なら2週間もあれば十分。

こうなってから、挿し木用の肥料分の
入っていない土に植え付けてあげると、
まず失敗しません。

現在3月に挿したクレージーツーの蕾が
膨らんできました。

クレージーツーは、挿した全て、
つまり一度に12本も成功して
嬉しい悲鳴をあげています。

クレーシーツーの開花の様子はこちら

成功率は、品種の差によると考えられます。

(2008年5月31日撮影)
上記のアブタカダブラの成長はゆっくり
でしたが、新芽が伸びてきました。

(2008年7月7日撮影)

なお、蒸し暑い7月・8月〜9月前半の時期は、
挿し木には不向きです。

水差しでも、ビンにコケが生えてきたりして
成功率が落ちます。

こまめな水換えと、クーラーと日照のバランス
の取れた置き場所の工夫が必要です。

たとえ発根しても、その後に土に植えてから
蒸し暑い気温に耐えられないことが多い。

病気にもなりやすい。

関東より南では、涼しくなる9月後半からが
適期になります。

きっと北海道など夏が涼しい地域では、
この限りではないでしょうが・・。(^^ゞ
上記のアブダカタブラに小さいながらも
蕾が見えてきました。

10月には開花するでしょう。
(2008年9月13日撮影)


9月になって、また挿し木の成功率が
上がってきました。

パーティラナンキュラなども水挿し2週間程で
発根(カルス形成)してきました。

ノンビリと成長を見守る、
これが挿し木の醍醐味でしょう。
10月を待たず、ついに開花しました。

小さいながらもちゃんと絞りも入り、
すっかり一人前の顔立ちです。

(2008年9月26日撮影)

挿し木してから,約5ヶ月目で開花は、決して
早い方じゃありませんが、順調だったとも
言えます。

中には、発根した時点で成長が完全に
止まってしまい、
枯れないけれど新芽が伸びないまま
数ヶ月経ってしまう株もあります。

そうした場合は、植え替えたり、
もう一度切り戻したりして、刺激を与えると
目覚めることが多いです。